クマノミ
スズキ目スズメダイ科。
2008年8月12日。撮影者は嵯峨山貴子氏。体長2センチほどの幼魚です。 スズキ目スズメダイ科。 2008年10月8日撮影。撮影者は下関智子氏。幼魚は人気あるのですが、成魚の写真は誰も撮ろうとしないようです。f ^ ^ *) 2010年4月22日撮影。場所は大牛の裏手、グンカンと水深16mのアーチの間に位置するロッカク岩にて。体長は6cmほど。 2012年3月16日撮影。撮影者は廣瀬誠氏です。 クマノミの仲間は、日本に6種類います。他にハマクマノミ、カクレクマノミ、セジロクマノミ、ハナビラクマノミ、トウアカクマノミが知られていますが、伊豆半島でお目にかかれるのは本種だけですね。 伊豆・雲見で撮影したものではありませんが、他のクマノミの写真を一部アップしておきます。 2011年3月、久米島にて平澤優佳氏撮影のハナビラクマノミ。 2011年3月、久米島にて高山恵子氏撮影のカクレクマノミ。 2011年3月、久米島にて金澤真美氏撮影のセジロクマノミ。 クマノミはイソギンチャクと共生し、その触手の間に棲んでいます。通常ひと組の雌雄と数匹の幼魚または若魚が一見ファミリーのように暮らしていますが、互いに血縁関係はありません。 また、そのグループの中のいちばん大きな個体が雌、次に大きな個体が雄です。雌が何らかの理由でいなくなると雄が雌に性転換することが知られています。そして何匹かいる若魚のうちの最も大きな個体が成熟した雄として、新たに雌になった個体とペアを組みます。 クマノミの仲間は、イソギンチャクの陰になっている岩の上などにタマゴを産みつけ、ふ化まで雌雄で世話をします。主に雄がヒレで海水を送って酸素をタマゴに供給する役目。雌が外敵を追い払います。この時の雌は非常に攻撃的で、ダイバーのフィンや、時にはレギュレータのパージボタンに向かって体当たりしてくることもあります。 ふ化した仔魚は数日間の浮遊生活で広い範囲に拡散し、その後海底に降りて、そこにあるイソギンチャクに定着します。こうして近親相姦を避けているわけですね。 20111126日撮影。撮影者は私です。場所は大牛の裏手、水深12m付近。水温は20℃を切って19℃の日でした。が、まだまだ活発に泳ぎ回っていますね。 イソギンチャクの触手には不用意に近づいた魚を気絶させる刺胞毒があります。クマノミはイソギンチャクに定着後、徐々に触れ合うことによって触手の刺胞毒に対する免疫性を手に入れるといわれています。 以前、テレビ番組で、水槽の中のクマノミを取りだしてタオルで体表面を拭き、すぐに水槽に戻す、という実験をやっていました。戻されたクマノミは急いでイソギンチャクに隠れますが、その途端気絶してしまいます。しかし少し時間がたつと、体表面に免疫の為の分泌物が出されて、また触手の毒に抵抗を持つようになります。生きる為のすごい工夫ですね。 上記画像のクマノミは、4月に成魚の状態なので季節来遊してきたとは考えにくいですよね。つまり越冬したのだと思います。基本的にクマノミは季節来遊魚で、黒潮に乗って南の海からやってきます。 夏から秋にかけては伊豆でもたくさんのクマノミを見ることが出来るようになりますが、水温が低い時期には死滅してしまいます。でもこうして越冬する個体もいるので、徐々に低水温に対する抵抗力を強めているようにも感じます。 あとは繁殖に成功すれば、もう季節来遊魚とは言えなくなると思いますが、僕の知る限りでは繁殖に成功した例を知りません。また仮に繁殖に成功しても、幼魚や若魚の状態でも確実に低水温の時期を乗り切ることが出来なければ、季節来遊魚から脱出した、とは言えないのかもしれないですね。 上記画像は静岡市三保にある海洋科学博物館に展示してあった、世界のクマノミの種類とその分類図です。
by idive-marinelife
| 2008-09-10 09:34
| 魚・カ行
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